QuAILibプロジェクト

NEDO委託事業「量子・AIハイブリッド技術のサイバ-・フィジカル開発事業」(JPNP23003)

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我が国の産業競争力の維持・向上やカーボンニュートラル等の社会課題を解決するには、年々指数関数的に複雑化かつ大規模化する計算を適時処理する必要があります。これは即ち従来の古典コンピュータのみでは量的・質的に解けなかった問題を現実的な時間で解く技術の必要性を意味します。そこで、量子インスパイアド技術を含む量子コンピューティング技術と人工知能(AI)技術を組み合わせることによって、計算能力の飛躍的な向上やデータ利用の高度化を実現することが可能になると期待されています。

本事業では、従来技術では解決が困難なビジネス問題の規模や複雑さに対応可能で、単一及び複数の分野で共通的に使用可能な、量子・AIハイブリッド技術を活用したアルゴリズム等で構成する共通ライブラリを開発します。また、開発した共有ライブラリの有効性検証や、共通ライブラリの普及に向けた利用環境の整備、及び管理体制について明確化を行います。

実施項目1 量子・AIハイブリッド技術の活用を加速する共通ライブラリ基盤の研究開発

(担当:産総研、長大、DEVEL(再委託))

本研究開発では、量子・AIアプリケーション、及び共通ライブラリを利用する環境の研究開発、及び共通ライブラリの普及に向けた管理体制の明確化を行う。具体的には、共通ライブラリを量子・AIアプリケーションから使用する方法を標準化に向けて、量子・AIアプリケーション内タスク処理の実行環境割り当てやスケジューリングを担う量子・AIワークフローオケーストレータを開発し、量子・AIソフトウェアスタックを整備、利用者ポータルを備えた共通ライブラリ利用環境を開発する。また、共通ライブラリを試行できる「場」の構築を通じて管理体制の明確化を行う。さらに、量子・AIハイブリッドアルゴリズムを元に作成したプログラムの入出力のデータの形式、共通ライブラリ開発の構成や必要な機能、量子・AI間でのデータの受け渡し方法などの共通ライブラリ外部仕様を研究開発する。

実施項目2 ブラックボックス最適化共通ライブラリの研究開発

(担当:慶應義塾大学)

本研究開発では、量子アニーリングマシンをはじめとしたイジングマシンとAIとのハイブリッドアルゴリズムによってブラックボックス最適化を行う方法(FMA)において、変数が2値しか取れない場合、かつ、制約条件が無く、目的関数が単一のブラックボックス最適化問題のみとする従来FMAの機能拡張開発を行う。具体的には、3値以上の値や制約条件、多目的最適化に対応させるといったFMAの適用範囲を拡大、イジングマシンに搭載された変数の個数分のデータを取り扱うことができないという課題を克服する新たなアルゴリズム開発及びライブラリ化を行う。

実施項目3 量子機械学習共通ライブラリの研究開発

(担当:東北大学)

本研究開発では、量子および疑似量子アニーリングマシンを用いて、厳密解を解くことができるアルゴリズムの研究開発を行う。具体的には、アプリケーション等に必要とされるクラスタリングアルゴリズムおよび解の精度等を明らかにし、イジングマシンを用いたクラスタリングアルゴリズムの開発を踏まえて、量子および疑似量子アニーリングマシンを用いたアルゴリズムの実装・評価、及びライブラリ化を行う。